「男性医師は育休など取れない」
なんとなくそう思っていませんか?
サラリーマンでも実際に育休を取るのがまだまだ難しい現状。
女性医師も産休・育休を取るのは大変と聞きます。
ところがTwitterで知り合った男性医師である「キュート先生@cutetanaka」が、実は2019年3月に育休を2週間とっていたということを聞き、男性医師の育休体験談をインタビューさせていただきました。
この記事を読むと以下のことが分かります。
- キュート先生が育休を取った時の状況
- 男性医師が育休を取った時の周りの反応
- キュート先生から、育休を取りたい男性医師へのアドバイス
- 男性が育休を取るメリット
男性医師が育休を取りにくい理由
そもそも、なぜ男性医師が育休を取りにくいのか。
色んな事情がありますが、主に以下の3点を簡単に説明します。
- 医師の不足
- 365日24時間体制のシフト制のため
- 高度な技術職のため、代替えが難しい
①医師の不足
地域や専門の科によって異なりますが、基本的に医師は不足しています。
特に地方になると人手不足の科に偏りが見られます。
②365日24時間体制のシフト制のため
入院病棟や、夜間受け入れのある病院は365日24時間体制です。
そのため医師もスタッフもシフト制で勤務しています。
特に医師には「当直」という夜勤が、週に1回はあることが多く、「オンコール」という
自宅待機だけど呼ばれたら病院に行かなければならない日があります。
そしてこの2つは、休日に組み込まれることも多いので、医師には完全な休日というものが少ないのです。
しかも「当直」は、1晩仕事をした翌日も、朝から普通に仕事をする医師が大半です。
午後から休みの医師もいますが、そのまま1日中仕事の場合もあります。
そんなギリギリの状態で仕事を回しているため、誰か1人が抜けると大変なことになります。
③高度な技術職のため、代替えが難しい
医師は難易度の高い国家資格です。
高度な技術のため、経験を積んだ医師の給与は1000万円以上になります。
そのため、病院の経営を考えると医師の採用人数は極力最低限におさえたいもの。
よぶんな人員がいないうえ、医師免許を持っていないと出来ない業務なので、代わりがきかず、休みが取りにくい職業なのです。
育休を取得した男性医師にインタビュー
そんな育休取得のハードルが高い職場で、2019年3月に実際に育休を取得した、男性医師にインタビューしました。
- 育休取得時の状況
- 男性医師が育休を取った時の周りの反応
- 育休を取って得たもの
- 男性医師が育休を取る際のアドバイス
かなり詳細にお答えいただいているので、育休を取りたい男性医師の方の参考にもなると思います。
育休取得した男性医師「キュート先生」
キュート先生 本名:田中 希宇人(キュウト)
39歳男性医師
市立病院の勤務医(呼吸器内科医)/医師歴15年
現在3児のパパ
「キュート先生」の愛称でTwitter、ブログで医療情報を発信されています。
肺癌について最新の研究から実臨床データまでわかりやすく解説されています。
▼キュート先生の詳しい紹介はこちら▼
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男性医師の育休取得の体験談を「キュート先生」にインタビュー
育休取得時のキュート先生の状況
上のお子さん・5歳と2歳
妻・3人目妊娠中も仕事をしていたが、切迫になり緊急退職→専業主婦
呼吸器内科医14年目
病院では医長職。市立病院の勤務医なので公務員扱いになる
キュート先生の科の医師の人数
呼吸器内科部長1人・外来のみの女性医師1人・後輩呼吸器医師1人、とキュート先生の計4人
※「3次救急病院」とは重症レベルの高い患者さんを受け入れている救急病院です。
育休を取ろうと思った理由
- 3人目の子どもだったから
- 親が地理的に離れており、支援を受けにくいため
取得した育休の期間
1月に里帰り出産し、飛行機に乗ることができる3月初旬に帰ってきて、そこから2週間の育休を取得。
3月末は病院の人員の入れ替わりの時期で休めそうもないので、2週間が限度と考えて2週間申請した。
外来はとてつもない人数が入っており、外来だけ自分で行って、病棟業務と当直業務を外してもらった。
育休取得を申請した時の周りの反応
呼吸器内科内の上司、同僚は好意的だった。
責任ある立場になるとなかなかとりにくいと思われます。
※キュート先生は育休取得時、医師歴14年目の医長でした
育休取得をした感想
- 育児(乳児)の大変さを身をもって体感することができた
- 授乳の時間が数時間毎にあり、24時間休みがない
- 上2人(当時5歳、2歳)を見ながら買い物、掃除、風呂や寝かしつけは激務であることが分かった
- 短い時間ではあったが家族と密に過ごすことができた
- 男性医師でも育休の申請が可能なことが分かった
「キュート先生」から、育休を取りたい男性医師へのアドバイス
- 私は市立病院勤務で公務員扱いのため、申請さえしっかりすれば育休は男性にも与えられている権利であるということ。
- 多くの業務を請け負っている場合、代わりの人員が必要になるため、普段から引き継げるように業務をシステム化しておく必要がある
- 医師の場合、患者さんにも育児休暇を取ることを説明しておくことが大事。
多くの患者さんは好意的であったが、一部の患者さんや患者さんの家族に「主治医が変わって不安だった」と言われることがあった。
事前にきちんと説明しておくことが大事。
また、ネット上では少数ではありますが、他にも育休を取得した男性医師がいらっしゃいました。
そのため、男性医師の育休取得は「前例がない事ではない」「不可能なことではない」ということが分かりました。
男性医師が育休を取るメリット
それでは、そこまでして男性医師が育休を取るメリットがあるのか?
私の見解をまとめました。
男性医師が育休を取るメリットは
- 家族を守ることができる
- 育児の大変さを共有することで、夫婦の絆が深まる
- 命の始まりを知ることができる
①家族を守ることができる
ワンオペ育児は妻を蝕む
ワンオペ率の高い医師の妻は1人で家事育児をしなければいけません。
休みも少ないワンオペ育児は、妻にとって想像以上に過酷です。
と言う人もいるかもしれませんが、そんな根性論だけで育児はできません。
私は周りに医師の妻が多いのですが、その内2人は育児が原因で病になりました。
1人は産後うつで完治に1年かかりました。
もう1人は、2人目出産後、育児ストレスで顔面神経麻痺になりました。
タフだと思っていたママ友だったので驚きました。
2人に共通していたことは、「遠方に嫁ぎ、周りに頼れる人がおらず、親の援助が受けられない状況」です。
妻の不調は全体の不利益につながる
医師の妻が不調になると、当たり前ですが、そのしわ寄せは夫である男性医師に降りかかります。
家事はもちろん、赤ちゃんのお世話、兄弟がいたら上の子の世話まで、全部を夫がしなくてはいけません。
その結果、仕事にも悪影響がでる可能性があります。
特に心の病は1度かかると回復に時間がかかります。
その間は、日常の家事はもちろん、子供をかまう余裕もなくなります。
子供の心理面、教育にも悪影響がでる可能性があります。
妻の心に余裕があると家庭円満
乳児の育児中は「毎日が当直」です。
家事育児の協力だけでなく、だれか大人が1人いてくれるだけでも、精神の安定になります。
寝不足と疲労がたまると、待望のわが子だったはずなのに、放り投げてしまいそうな精神状態になるママはたくさんいます。
最悪の場合、虐待につながることもあります。
また、妻の心に余裕があると、子供とのコミュニケーションや教育の質も上がるので、「妻の健康=家族の利益」になります。
家庭円満で健やかな子供が育つことは、長い目で見ると社会の利益になります。
一家族や、子育て世代だけの問題ではないのです。
②育児の大変さを共有すると、夫婦の絆が深まる
育児の大変さは、育児をしなければ分かりません。
そのため、育児を知らない夫は妻の気持ちが分からず、すれ違いや衝突が起きやすくなります。
「産後クライシス」という言葉は有名ですが、産後育児が原因で離婚する家庭はたくさんあります。
「産後クライシス」夫婦仲の悪化を防ぐには? 夫は「一番大変な3カ月」を逃すな!/東京新聞
「産後クライシス」を知っていたのに、やはり産後に夫婦仲が悪化しそうになった男性のツイートです。
産後クライシスになる原因
・ママ目線
赤ちゃんを死なせちゃ行けない緊張感と不眠が続き疲れがピークに加えてホルモンが不安定になりイライラ2人の子供なのに家事や育児を手伝ってやってるという夫の認識に腹が立つ
そもそも手伝わない
だんだん夫への不満が高まり爆発
— ぽまパパ@育児とブログときどき仕事 (@pomaiku) September 1, 2019
パパ目線の産後クライシス。
産後クライシスになる原因
・パパ目線
仕事で帰ってきて疲れてる状態で妻からイライラされながら育児が大変だったと聞かされる家事や育児に協力するが妻からのダメだしが止まらない
ちょっとしたミスや理不尽なことで鬼のようにキレられる
我慢の限界がきて爆発
— ぽまパパ@育児とブログときどき仕事 (@pomaiku) September 2, 2019
③命の始まりを知ることができる
医師は人間の体と命に向き合う仕事です。
赤ちゃんは、ふにゃふにゃで頼りなくて、ちょっとしたことで死んでしまうのではないかと不安にさえなります。
その始まったばかりの生命である赤ちゃんと密に関わることは、医師をする上で、新たな気づきを与えてくれるかもしれません。
男性医師が育休を取れる社会へ
男性どころか、女性医師ですら産休・育休を取得することが難しいのが現状です。
自分の身を削りながら働く中で、育休を取得する人の穴埋めをするのは過酷です。
育休を取得したキュート先生は、何度も「まわりに迷惑をかけた」とおっしゃられていました。
男性が育休を取ることは、健全な家庭を保ち、健全な子供を育てます。
子供が健全に育つことは、長い目で見ると社会の利益にもなります。
そのためにも、男性が育休を取りやすいシステムを作り、いつか「育休=周りに迷惑をかける」という構造がなくなって、育休取得をしたい人が育休を取れる社会になってほしいと切に願います。
育休が取れない男性へ
育休取りたかったけど取れなかった
妻を手伝いたいけど、激務でむずかしい…
そんなパパは、妻の家事育児の負担を減らすために、便利家電や宅配サービスを利用してください。
- ルンバ
- 食洗器
- 乾燥機付き洗濯機
この3つは、家事の3種の神器と言われています。
また、現代は便利な宅配サービスがたくさんあります。
妊娠中や、乳幼児を連れての買い物はハードワーク。
買い物に行く往復の時間だけでも30分はかかります。
その時間がうけば、他の家事ができたり、少し休憩することができます。
▼育児中の妻の負担を減らそう▼
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